2008.6.14(土)

外人監督の自主映画から、五代の息子つぶらに出演オファーが来ていて、今日はその面接。新東宝のF氏がライン・プロデューサーみたいなことをしていて、その線からつぶらにオファーが来たというわけ。オレも付きそいで付き合う。
ホンも読まされたが、はっきり言ってよく分からん。しかし、つぶら(小五・11才)にとってはいい経験だと思い、OKをする。
と、話してるうちに、「ミスター池島にも出てもらえないか?」ということになり、どうせ、つぶらに付きそっていくわけだし、つぶらと初の共演も出来るわけだし、これは心よくOKね。


2008.6.17(火)

雑誌『ペント・ジャパン Special』恒例化しつつある女優との対談。
今回は、美熟女ワキ毛女優・友田真希。
真希さん、オレの作品でも『未亡人民宿』『親友の妻 密会の黒下着』とすでに2本に出演していただいたが、その他にも出演作があいつぎ、この分では、今年の新人女優賞は確実でしょう。
真希さん、ごらんのとおりのファニーフェイスの美巨乳、ワキ毛ありのナイスバディの方ですが、性格もとてもナイスな大人な方でありまして、これで芝居に一本スジが通るような力強さが出てくれば、とりあえずは鬼に金棒でしょう。
今後とも、よろしくお願いします。という感じです。
ひとつ残念なこと。真希さんのトレードマークともいえるエロなワキ毛、ついに剃ってしまうそうです。理由は…色々な大人の事情であります。しかし、残念!


2008.6.18(水)

『こち☆てん』。助監督と打ち合わせ。終了後は、関根組初号を覗かせてもらう。打ち上げにも顔を出させてもらったが、27年に及ぶオレのピンク歴で関根さんとこんなに話したの初めてのこと。いや〜、楽しかったです。


2008.6.21(土)

監督新人協会の勉強会。今回のテーマは「ピンク映画」で、上映作品は、なんとオレの101本目『Next』(公開タイトル『超いんらん やればやるほどいい気持ち』)。
オレがゲストで呼ばれたってわけです。
日高ゆりあ、倖田李梨と出演した2大女優を力強い援軍に乗り込んだってわけです。
ま、上映後は、『Next』をサカナにただの飲み会=交流会となり、そんな大ゲサなものではないんですけどね。
とりあえず、こういう機会を与えてもらってありがたかったです。


2008.6.22(日)

『こち☆てん』役者リハーサル。
つい先日、急遽ヒロイン役となった新人の若葉薫子が珍しい衣裳また面白い衣裳をたんと持っていて、あ、これはいいとひらめくものあった。気立てもいいし、今回は彼女に賭けようじゃないか。


2008.6.23(月)

ロケハン。
今回の作品、後半の部分が近未来となっていて、しかもオープンロケが多い。そこが大きなポイントだったが、助監督の中川がさがしてきたいくつかの場所。まさにドンピシャリであった。うわー!東京にこんなとこあるんだ?! まさに近未来ね!って感じね。
中川、オレの組について4年近くなるが、初めて、いい仕事したね。
千葉の佐倉近辺から東京の足立区板橋区杉並区新宿区と回り丸一日。いいロケハンだった。


2008.6.24(火)〜26(木)

コンテ等で基本的には家にこもる。
若干、遊び。
『こち☆てん』の公開タイトル決まる。
『萌え痴女 股がりハメ放題』。10月24日、上野オークラ、横浜光音座にて封切り。よろしくね。


2008.6.27(金)

コンテ・打ち合わせ。


2008.6.28(土)〜29(日)

コンテ。若干遊ぶ。


2008.6.30(月)

クランクイン前日。いつものようにダラダラと、そして心静かにインを待つ。


2008.7.1(火)

『萌え痴女 股がりハメ放題』撮影。
今回の作品、もともとは会社からの強い要望もあって、昨年オレの作品でデビューし、みごと新人女優賞を受賞したO嬢の主演でやる予定であった。それが、色々な大人の事情によりO嬢がやれなくなり、急遽あたふたと新人女優をさがすハメになり、たどりついたのが若葉薫子。
頼むよ、若葉さん!
そして、いつものことだけが、頼むよ、天気!

初日。
朝7時半新宿集合。一路、九十九里浜へ。9時到着。いきなりラストのクライマックス・シーンからの撮影となる。
雨模様という天気が心配だったが、何とか雨は落ちず、雲空。とりあえずは、超ラッキー!
若葉のクローズアップで涙を流すというカットがあった。彼女にムリだろうなと思いつつ、一応「泣ける?」と聞いた。すると彼女「10秒で涙が出ます」と言った。エッ、ウソだろ?!…と思いつつ、自信たっぷりな彼女に「じゃあ、10秒で泣いて。ヨーイ、ハイ!」とやった。集中する若葉。しかし、10秒、20秒…と涙は出ない。「なんだ、ダメじゃない!」。彼女「すみません。やはり緊張してるみたいで。少し待って下さい」。オレは彼女に賭けた。待つこと数分。彼女がいきなり「出てきました!」と叫ぶ。見ると、鼻からもあふれるボウダの涙。(なんだよ、いきなり出すなよ。スタートかけられないじゃんか…)と思いつつ、「おっ、すごい!よし、回せ!スタート!」。
このコ、面白い…。妙な感性と芝居っ気がある。はっきり言うと、かなりヘタなのだが。(その、ヘタな部分にイライラさせられながらも、彼女独得の妙な感性に助けられたな…というのが今回の作品を一言で言った感じだ)。
しかし、このクライマックス・シーンのメインは若葉ではない。車椅子の老人役のなかみつくんと、その介護ロボットの倖田李梨と、そして、天気が主役!
ネタバレになるのでこれ以上は詳しく書けないが、奇跡が起きたのだ。「虹」というのが、台本上にある。そのカットは合成でやるというのがプラン。しかし、本物の「虹」が頭上の高くわいてきたのだ。あんな虹見たことない。雲のまにまの薄い太陽を中心に360度円形の虹が出現していたのだ。芝居の最中、その虹を発見したなかみつくんは思わず「ホンモノのニジだ!!」と叫んだ。そのカット、しっかり本編中のそのシーンにあります。見て下さい。
午後1時半頃、九十九里ロケ終了。
佐倉のTスタジオへ移動。遅い昼食を取り、3時頃開始。
スタジオ内のシーンのみ11シーン、ガンガンにテンポよく進行し、終了夜9時半。予定より、3時間も早かった。
スタジオ泊のため、夜は飲み会。午前3時頃まで飲み。一人になる。眠りにつく。

2日目。
朝7時半出発。佐倉近辺の公園などでオープン・ロケ。7シーン。
午後2時頃スタジオにもどる。スタジオ内で6シーン。終了、夜8時。
夕食後、9時半頃スタジオを出る。
0時半頃、世田谷の事務所に着く。
早い。メチャ早い。Tスタジオのオーナーもおどろいていた。「十数年ウチに来てるけど、2日も続けて夜8時9時に終わったことはかつてないよ。池ちゃん、ホント最近早くなったねェ…」だって。オレもそう思う。二、三年前からオレ早くなったなと思っていたが、最近は増々拍車がかかって、自分でも驚くくらいさらに早くなっている。オレのモチベーション、パワーは落ちていないので、ウデがさらに上がったということだと思うのだ。

最終日。
朝7時半新宿集合。
新宿近辺でオープン7シーン。テンポよく進み、昼過ぎ終了。足立区の某場所へ。この辺の数ヶ所は中川がさがしてきた場所。はっきり言ってすごくいい。ホント、ヤツも初めて仕事したよ。そこで3シーン。
夕方頃、板橋のKさん宅へ。そこでワンシーン。このKさん宅を借りるのも、これで4度目か。『奪う女』『半熟売春』『やればやるほどいい気持ち』で借りた。全て傑作。今回もそうなるといいなあ…。
夜に入り、新宿の某シティホテル。4シーン。終了、夜中の2時半頃。
オレはそのままホテル泊。
いつものように、天候に恵まれ、事故もなく、駆け抜けることが出来た。感謝。


2008.7.5(土)

編集。67分50秒。7分カットしなければということ。


2008.7.7(月)

オールラッシュ。
ラッシュ後の再編集で一気に7分カット。


2008.7.9(水)

アフレコ。


2008.7.10(木)

三茶の中央劇場で久しぶりに映画見物。
『やわらかい手』。アリアンヌ・フェスフル主演。『あるスキャンダルの覚え書』。ケイト・ブランシェット、ジェラルディ・デンチ主演。
2本ともすばらしい。アイデアといい、役者の力量といい、見応えあり。


2008.7.11(金)

桜井さんのグッドマン・マンスリー・ライブ。
一魅と音楽打ち合わせ。


2008.7.12(土)

『ペントジャパンSpecial』の女優対談。今回のお相手は、今年度(07年)ピンク大賞新人女優賞受賞の結城リナ。彼女にはデビュー作の『性欲診察』以来、3本続けて出てもらい、またオレのプロデュース作でもある田中康文監督作『裸の女王』にも出てもらった。去年のピンク大賞では、彼女の友達の日高ゆりあが新人賞をゲット。その時、オレの腕に抱きついて「来年はワタシね、カントク!」と言った彼女の言葉が忘れられず、今年受賞となりホントよかった。オレが一番うれしいかも。
そんな彼女との対談で、予定の2時間あっという間だった。
その後、先頃亡くなられた向井寛監督のお別れ会に京王プラザホテルへと行く。
オレにとっての、ピンク映画の青春期は、向井監督ひきいる獅子プロにあった。直接的なかかわりはそんなになかったが、オレにとっての恩人の一人である。ご冥福を祈ります。


2008.7.13(日)

『萌え痴女』ダビング。ラスト8分に渡る一魅の音楽がすばらしく乗って、今回もまた楽しい映画になったと思うのだ。


2008.7.16(水)

『萌え痴女』初号試写。うまくいったと思う。しかし、オレはくやしい。ラッシュの時に気づいた。その時気づいたシーンを撮っていれば、さらに何倍もいい印象の映画になっていたと思うのだ。ここまでくやしい思いはめったにしないだけに、よりくやしい。


2008.7.17(木)

『萌え痴女』映倫試写。会社の受けもよく、ホッとしました。


2008.7.18(金)

桜井明弘ライブ。吉祥寺マンダラ2。


2008.7.22(火)〜25(金)

五代親子と毎年恒例の式根島ツアー。つぶらが小学校に入る前からだから、もうこれで6、7年続いているかな。
式根島は相変わらずすばらしい所だ。しかし年々海水の温度が上昇しているのを感じる。地球温暖化を実感せざるをえない。


2008.7.28(月)

久々に地元・府中のシネコンで映画をハシゴ。
『クライマーズ・ハイ』。原作者の横山秀夫は好きで、文庫化されたものはほとんど読んでいると思う。この原作も素晴らしいものであった。映画は、全然ダメでした。
『ハプニング』。サイテーです。


2008.7.29(火)

次回オーピー作品の脚本を『Next』以来の後藤大輔氏に依頼する。その一回目の打ち合わせ。何をやろうか?……というお互いの気分のスリ合わせね。ひとつ決まっているのは、日高ゆりあ主演で、日高に襦袢を着せて欲しい…という会社の注文ね。


2008.7.30(水)

劇団超新星『小鳥の水浴』初日。トリプル・キャストによる一回目。まずは世志男=フランキーと西入美咲=ヴェルマのヴァージョン。
世志男がいい。自らのパーソナリティを生かした役づくり。これだよ、コレ!! やはり世志男はチカラあります。


2008.7.31(木)

『小鳥の水浴』二日目。日高ゆりあ=ヴェルマ、前田万吉=フランキーのヴァージョン。
前日と同じホンとは百%思えない悲惨な出来。日高、うわすべり。前田、論外。
これが初舞台となる日高ゆりあには、ちとかわいそうな幕開けとなったのだった。オレの映画版『小鳥の水浴』(『半熟売春』)のフランキー役だった野村くんがここでもフランキーだったらどんなによかったことか…と、かなわぬ思い。(野村くん、自分の劇団・め組の公演と重なり、一応オファーしたもののムリな話であったのだ)。
前田くんに関しては、役者やるべきじゃない人がやっている、しかも、フランキーという半端な役者ではとうてい太刀打ち出来ない大役をやっているという悲劇だ。声と滑舌という役者にとって最もベーシックな技術が全くダメ。というか、ひどすぎる。本人がまたそのことの重要性を全く意識していないというのが、何ともはや…。くわえて、役者をやる、しかも、フランキーをやるということに対するモチベーションの低さ。何ともはや…。
言いたいことは山ほどあるが、虚しくなるので、もうやめる。一言いうと、演出=かわさきひろゆきの責任も大きいと言うことだ。


2008.8.2(土)

上野オークラへ『親友の妻 密会の黒下着』観賞ツアー。同行は、倖田李梨、若葉薫子。ついでに、倖田李梨初主演という『さびしい人妻 夜鳴く肉体』も見る。
観賞後は3人で、ミニ舞台挨拶。そして即席のサイン会。そして飲み会となる。


2008.8.3(日)

『小鳥の水浴』。世志男バージョンと日高バージョンの2本見る。
世志男はさらにこなれてきてる。世志男の芝居のコメディタッチからシリアスへの大きな振幅を見ていると、これだよ、これ、どうして今まで誰一人として、こういう振り幅の広いフランキーをやらなかったんだろう?こっちの方がはるかに人間的で魅力的。今までのフランキーは一律、生マジメでおとなしい文学青年くずれであった。世志男のフランキー見て、『小鳥の水浴』の世界がさらに広がった、深くなったと感じたしだいだ。
オレのひいきの西入美咲も世志男についていくのでせいいっぱい。というか、彼女ほどのチカラがあるからついていけたのだろう。
ひるがえって日高ゆりあはお気の毒。日高自身はだいぶいい感じにはなってきているが、いかんせん、相手が相手なだけに、芝居にならないのだな。
『小鳥の水浴』って、男と女の二人芝居として、これほど劇的に完成されたものは他にないのでは?と思えるほどにすぐれた戯曲である。その分、演じる役者に要求されるものが、とてつもなく大きい。それゆえ役者の根本的なチカラがないと、とても太刀打ちできずに無惨な結果となる。これほどつまらん芝居もないと思えるほどに。
日高はワリくったが、これもひとつの経験。今後に生かすも殺すも彼女しだいだ。


2008.8.4(月)

『小鳥の水浴』最終日。ラク日の今日は、今回唯一ワンステージの「水原香菜恵・かわさきひろゆき」バージョン。2人とも何度となく演じているだけに無難な出来。しかしここには演劇的な衝撃がない。あくまで無難にサラッとやってみましたという感じなのだ。言うなれば、試演会、エキシビジョン・マッチって感じる。
かすかな衝撃が、打ち上げであった。余興で、日高とかわさき氏が『小鳥』の後半部を演じたのだが、この時の日高がよかった。相手が前田くんからかわさき氏へと変わり、彼女も驚いたことだろう。あまりのやりやすさに。本番でのうっぷんをここぞと晴らしまくっている感じで、いきなりの衝撃だった。


2008.8.5(火)

森山組初号。Hシーンの見せ方がずい分うまくなったな。キャスティングもいいし、娯楽ピンクとしては、いいんじゃないですか。


2008.8.6(水)

高円寺ペンギンハウス。白井リカさんのライブ。プラス、大場一魅(オレにとっては)初のワンマン・ライブ。一魅、ピンク用に作った歌を10曲ほど歌いまくり、最後に「8 1/2」なども歌う。一魅には今後こういう機会を出来るだけふやしていってもらいたいものだ。


2008.8.7(木)

恒例のシネ・キャビン納涼会。オレは珍しく、とうか初めて夜11時お開きの一次会で帰宅する。
翌日の午前11時から大蔵映画の監督賞授与に行くということもあったが、それ以上にここ一ヶ月ほどすっかり衰えて甘えっ子になる一方であった愛猫ランチが気になって仕方ないということもあった。
2年前にランチのお兄ちゃんタドン(16才)が死んだ時のことがしきりに頭をよぎるのだ。
タドンはオスだったせいか、ある日突然消えてしまった。猫は消えるとは聞いていたが、当時のオレはえらいショックにおそわれたものだった。だから、ランチには死ぬんだったら、せめて家で死んで欲しいと思っていた。
深夜、帰宅。ところが、ランチがいない! ランチはメスのせいか、家にいないということは全くなかった。それがいない。
ついにきたか、と思った。やはり、ランチも消えたか…。そう思い、オレはショックと悲しみと酒の酔いでボロボロになり号泣のまま寝入ってしまった。


2008.8.8(金)

朝、ランチのかぼそい声がする。オレは飛び起きた。帰って来た! かなり衰弱していたが帰って来てくれた。オレはうれしさのあまり、また泣けた。
大蔵映画の監督賞授与の時もランチが気になって仕方がない。
終了後、即帰宅。すっかり衰弱してもはや何も食べられないランチを抱いて寝る。


2008.8.9(土)

「歌う!ピンク御殿」の「九十九里浜スペシャル」に行くため、またランチとお別れだ。一泊しなくてはならない。
ランチに言い聞かせる。ごめんね。また今日は帰れないけどね…。ランチ、お願いだから、家で死んでね、家で死んでくれたら、庭に埋めてやれるし、いつでもおまいりしてお話しすること出来るしね…と。
「九十九里スペシャル」はそれなりに楽しかった。


2008.8.10(日)

民宿で一泊して今日は自由時間。五代親子、知人の子Sくんと4人で九十九里で一日遊ぶ。
夜、帰宅。
ランチが、部屋の中で死んでいた。
オレの願いを聞いてくれていた。
体をキレイなタオルで何度もたんねんにふいてやり、ランチが赤ちゃんの時から15年聞いているELVISのTシャツとバスタオルで包んでやり、オレと五代とタドンが楽しい時を過ごした写真をセレクトして一緒に箱に入れ、庭に埋めた。
涙が止まらない。
本当にキレイで可愛くていい子だった。いつも「お姫さま」と呼んでいたな…。
もう二度と生きものは飼わない。こんな悲しい思いは、もう二度としたくない。